学生時代には、一切関わることのないビジネス文書。独特の言い回しや表現など、ふだんの生活ではなかなか使うことのない文書なのにもかかわらず、働き始めるとすぐに覚えなければなりません。学生はもちろん、対外的な仕事に携わったことのない人にも馴染みが薄い文書ですから、はじめのうちはかなり戸惑うことでしょう。
そんな独特のビジネス文書に関して、スキルを認定するための「ビジネス文書技能検定」と呼ばれる検定があることはご存知でしょうか。今回は、取得していると、対外的な仕事に関わる方ならかならず役立つビジネス文書技能検定について、わかりやすく解説します。
目次
ビジネス文書技能検定とは、その名前のとおりビジネスで使われる、独特の文書やマナーに関するスキルを測り、認定するための検定です。社会人では、当たり前のように求められるスキルではありますが、正しい文書を知る機会はなかなかありません。それに社内の上司や先輩、取引先の方でも間違った使い方が多く、それを参考にしてしまうことで、そのまま覚えてしまうことも多いのが実情です。さらに企業体によっては、独自のビジネス文書の文化がある場合もあります。そんなビジネス文書を客観的で、正確な知識とマナーを習得し、認定してもらうビジネス文書技能検定は、社会人として働くうえで確実に役立つでしょう。
ビジネス文書とは例えば、
「貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。平素はひとかたならぬご厚情にあずかり、厚くお礼申し上げます。」
「平素は特別のお引立てを賜り、厚くお礼申し上げます。」
「謹啓 貴社いよいよご発展のこととお慶び申し上げます。」
など、日常ではまず使うことのない文書であることがわかります。また、「拝啓」で始めた文書は「敬具」で締めるなど、約束事もたくさんあります。
このようなビジネス文書の作成を、入社直後から求められることも珍しくありません。しかも、だれも教えてくれないのが辛いところ。何度も間違えながら、少しずつ上手にはなっていくのかもしれませんが、基本が分からなければ、いつまでたってもビジネス文書に慣れることはありません。つまり自分で習得することが、一番の近道といえるのです。
ビジネス文書技能検定を習得すると、つぎのようなメリットがあります。
このように、ビジネスの場では欠かせないスキルですから、検定を受けるメリットは大きいといえそうです。
ビジネス文書技能検定を受けるだけでは、就職が有利になるということはすくないかもしれません。どちらかというと、働きはじめてから役に立つスキルといえるでしょう。ですがよく見ている人事担当者がいる場合、資格欄に記載していることで、目に留まる可能性は高くなるかもしれません。つまりそこまで就職が有利になるとは限りませんが、担当者によっては有効な場合がある、ということですね。特に、就職活動に必要な履歴書は、必要事項を書くことは当然ですが、郵送する場合にはこれに挨拶状を一枚付けるだけでも、企業の人事担当者の目には「出来る学生」として映るかもしれません。就職に向けての最初の段階で、一歩リードできる可能性もある、ということです。
ビジネス文書技能検定が役立つのは、以下のような部署が代表的でしょう。
つまり対外的なメールや書類などをやり取りする部署ですね。営業や生産管理の場合は、日常的に大量のやり取りをすることになりますから、ビジネス文書技能検定合格を目指して勉強したことが、きっと活かせるでしょう。営業職を目指すなら、ビジネス文書の基礎を知らなければ、仕事が上手くいきません。メールでも郵送の文書でも、相手の印象を大きく変えてしまうこともあります。人とのコミュニケーションは、挨拶からです。その「挨拶のビジネス文書」が書けるかどうかで、相手の第一印象は全く違うものになってしまうからです。
では、ビジネス文書技能検定の概要を見てみましょう。
区分・種類 | 受験費用 |
1級 | 5,800円 |
2級 | 4,100円 |
3級 | 2,800円 |
1・2級 | 9,900円 |
2・3級 | 6,900円 |
受験資格に関しては、どの区分でも不問です。誰でも受けることはできます。
また、2級と3級、2級と1級のように、複数の区分を一度に受験することもできます。そのためしっかり勉強しておけば、はじめから1級を取得することもできるでしょう。
試験会場は「北海道」「東北」「関東」「中部」「近畿」「中四国」「九州」と別れており、例えば近畿であれば京都・大阪・神戸で検定試験が実施されています。(2021年の情報です。場合によっては変更等もあるため必ず協会のHPなどでご確認ください)
ビジネス文書技能検定の難易度は、1級まで含めても比較的「やさしい」に分類できます。
出題範囲や内容も、そこまでボリュームが多くないことから、事前にしっかり学習していれば、だれでも取得はできるはずです。興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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この記事を監修したのは
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京都ホテル観光ブライダル専門学校 教務部
経歴:2008年に学校法人大和学園 京都調理師専門学校 入職。進学アドバイザーとして高校生を中心に進路指導の相談に応じる。
その後、法人事務局 総務・経営情報グループ、グループ校の京都調理師専門学校・京都製菓技術専門学校(現:京都製菓製パン技術専門学校) 広報渉外部、キャリエールホテル旅行専門学校(現:京都ホテル観光ブライダル専門学校)管理部に異動。
2019年に法人事務局 財務会計グループに異動し、現在は大和学園生涯学習事業部・京都ホテル観光ブライダル専門学校 教務部を兼務。教務部で学校事務業務を担当している。
資格:情報処理技術者(ITパスポート)、日商簿記検定3級、第二種衛生管理者、防火・防災管理者、ホスピタリティ・コーディネータ、MOSエキスパート(Word、Excel)