コスチュームコーディネーターという仕事

ブライダルの世界にはさまざまな種類の仕事があります。中でも、花嫁花婿の衣装に関係する仕事は、ブライダル全体の雰囲気を決める、大事な仕事です。今回は、コスチュームコーディネーターについて詳しくみていきましょう。

コスチュームコーディネーターの仕事について知りたい

主役ふたりを輝かせる仕事

和式や洋式などをはじめ挙式や披露宴には多くのスタイルがあり、それらの要素を踏まえたうえで、セレモニー全体の 「装い」 すべてについて計画し、トータルにコーディネートするのがコスチュームコーディネーターの仕事です。

挙式や披露宴にまつわる装いというと、どうしても新婦のドレスや着物をイメージしてしまいがちです。新婦の華やかなドレス姿や艶やかな着物姿は、招待された方々の印象に、一番残りやすいからでしょうか。

ブライダルは新婦が中心になることが多いことは確かです。しかし、コスチュームコーディネーターのお客さまは新婦だけではありません。新郎新婦のふたりの主役がどんな希望や思いをお持ちで、他とのバランスを取りながら、どうしたらその希望を実現できるのかを提案し、プロとしてアドバイスしていきます。

また、コスチュームコーディネーターは、単に衣装だけでなくその周辺すべてをトータルに考える必要があります。たとえば、ヘアメイク、アクセサリーやブーケなどについても、会場の広さや雰囲気、インテリアなども含めた、トータル的なコーディネートのセンスが必要になります。

こうしたトータルコーディネートによって、主役のお二人をより一層輝かせるのです。

和装の婚礼にみる役割

コスチュームコーディネーターは単なる衣装係ではない、という点はお分かりいただけたかと思います。この仕事は、衣装とその周辺に関するスペシャリストとして、幅広い知識や技術が必要とされる職種なのです。

たとえば近年人気の和婚(和装の婚礼)の衣装であれば、着物の生地や絵柄・模様など着物に関する知識はもちろんのこと、着付けの知識や技術も必要になります。また、和装のマナーやエチケットにも通じていなければなりませんし、当然和婚そのものについて知っておかなくてなりません。

和装での挙式には次の3つがあります。

<神前式(神社挙式)>

  • 神道をベースにした、神職の司式によって神に結婚を誓う式
  • 神社だけでなく、結婚式場やホテルが会場になることもある
  • 現在の神前式は大正天皇の結婚式を原型にしたものが民間に広がった

<仏前式>

  • 仏教の教えに基づいた、僧職の司式によって仏に結婚を誓う式
  • 本尊の前で夫婦の誓いをかわし、数珠を受けて焼香、三三九度の盃をかわす
  • 両家のいずれかが属している寺院や菩提寺でおこなわれることが多い
  • 結婚式場やホテルでの対応は少ない

<人前式>

  • 宗教とは無関係で、両親や親族、友人の前が結婚を誓うスタイルの式
  • 宗教的背景に関わらない式のため、出席者の制限が取り払われる
  • 新郎新婦ふたりの自由度が高い

 

これらの挙式スタイル(特に神前式、仏前式)には、それぞれの宗教的要素や挙式会場となる神社や寺院によって、しきたりやマナーがあるものです。そうしたことを踏まえた上で、和装ならではの美しい所作などもアドバイスするのもコスチュームコーディネーターの大切な役割です。

また、和装の婚礼衣装にはいくつかの種類があり、白無垢、色打掛、引き振袖、中振袖があり、それぞれがどういう着物で、それにまつわる意味やいわれなども理解しておく必要があります。

<白無垢>

  • もっとも格の高い和装の婚礼衣装、挙式のときにのみ許される
  • 小物も含め、打掛、掛下ともに全てが「白」で統一されている
  • 邪気を払い神聖な儀式に臨むための特別な衣装

<色打掛>

  • 小袖の上からもう1枚同じ形の衣を掛けるスタイルが「打ち掛け」
  • もとは室町時代末期~江戸時代にかけての武家の女性の正装
  • 式は白無垢、披露宴は色打掛を羽織るのが一般的

<引き振袖>

  • 裾を引き摺って着る振袖で「お引き摺り」とも呼ばれる
  • もとは江戸時代の武家の婚礼衣装であった正式な和装スタイル
  • 裾の部分に綿を入れてふっくらさせているのが特徴

<中振袖>

  • 成人式で着るような一般的な振袖のこと
  • 未婚女性の慶事用第一礼装
  • 帯の生地や結び方を格上げし、婚礼小物を持つなど、婚礼衣装として整える
  • 打掛などより身動きが軽いため、披露宴や会食、パーティーなどで使われやすい

 

新郎新婦がどのような結婚式を希望しているのかをしっかりヒアリングし、予算や婚礼の格式などを考慮したうえで、お二人の理想とする結婚式になるよう衣装の面からサポートすることが、コスチュームコーディネーターの大きな役割です。

コスチュームコーディネーターになるには?

コスチュームコーディネーターとして活躍するために必要な勉強やスキルを考えてみましょう。

勉強しておくべきことは?

コスチュームコーディネーターになるために必ず必要とされる資格はありませんが、仕事をする上で活かせる資格はたくさんあります。また、資格取得のための学習内容が、コスチュームコーディネーターの仕事のベースになる知識に繋がるので、単なる試験勉強としてではなく、取り組むことが大切です。

 

<ブライダルコーディネート技能検定>

ブライダルに関する仕事に就くならば必須ともいわれている検定試験です。3級、2級、1級の3つのレベルがあり、ブライダルコーディネーターに求められる次の4つの能力がどこまで身に付いているかを問われる検定試験です。

  • お客様のニーズを汲み取る「コミュニケーション能力」
  • お客様に合ったブライダルサービス・商品等を創造・企画する「プランニング能力」
  • お客様にプランをわかりやすく提案・説明し、承諾を得る「プレゼンテーション能力」
  • お客様の結婚式・披露宴を円滑に運営する「オペレーション能力」

 

<色彩検定>裏付けのある色のスペシャリスト

色彩検定とは、「色彩に関する知識や技術」が問われる検定試験です。

感性やセンスによるものとして捉えられてきた「色」について、知識面、技能面とを理論的・系統的に学び習得します。

知識面では、色彩が心理面に及ぼす影響、色彩が持つ不思議な力、それによって変わる「色の見え方」など、色の性質や特性を学びます。また知識として身につけたものを効果的に活用するための技能を学びます。色が持つ力や影響について学び、試験で確認をすることで、カラーコーディネートの技能が身につきます。

新郎新婦のイメージする世界観や理想を実現するために、衣装を中心にしてトータルでコーディネートをしていくコスチュームコーディネーターの仕事には、色の魅力や影響力をうまく活用することが必要になるのは当然です。経験や感覚だけではなく、根拠や裏付けのあるコーディネートは、コスチュームコーディネーターとしての力量に付加価値をつけてくれるでしょう。

 

<ジュエリーコーディネーター検定>ドレスと合わせたジュエリーを提案する専門家

ジュエリーコーディネーター検定とは、ファッションとジュエリーをコーディネートするときに必要な知識を習得できる検定試験です。3級、2級、1級と3つのレベルがあります。ジュエリーの歴史、市場、素材、製造、商品、販売及びコーディネートに関する基礎知識と、お客様に対してそれを説明し、接客や販売(ウエディングの場合はレンタル)ができる技能を資格基準とする3級から挑戦しレベルアップしていくことをおすすめします。

コスチュームコーディネーターの仕事は、ドレス(衣装)だけではなく花嫁を引き立てるジュエリーも含めた提案をします。それに合わせて新郎にも花嫁とのコーディネートやバランスを考えた装飾品を提案することもあります。お客様のイメージも重要ですが、「このドレスにはこのジュエリー」というセンスも必要です。お客様の年代や雰囲気によって違う宝石を選ぶ方が似合うことがありますし、宝石の持つ意味なども考慮が必要になります。こうした知識やセンスは、コスチュームコーディネーターの仕事の厚みを付けていくことになるでしょう。

 

どんなスキルが必要?

コスチュームコーディネーターという仕事には、ブライダルや衣装、コーディネートに関する専門的な確かな知識やスキルが必要になるのは言うまでもありません。

お客さまからはいろいろな角度からの質問を受けることになります。その一つひとつに丁寧に真摯に答えていくことになります。また、トータルにコーディネートするのがコスチュームコーディネーターの仕事ですから、衣装以外の小物やフラワー、ジュエリー、インテリアなどとのバランスや色味などを整えるセンスも必要です。

しかし、そうした知識やスキルのほかにも必要になってくるのが、「接客のプロ」としての要素です。

お客さまである新郎新婦との会話の中で、お二人が本当に求めている結婚式・披露宴はどのようなもので、そこにはどのような姿で立つ自分たちの姿を思い描いているのか、という理想や夢の状態にあることを聞き取り、思いを汲み取ることが絶対的に求められる仕事なのです。

そのためにはコミュニケーション力や会話力、聴く力が必要になるのです。

どんな人に向いている?

コスチュームコーディネーターは相手のある仕事ですから、まずは「お客さまに喜んでもらいたい」という気持ちや「役に立ちたい」という心持ちで仕事に取り組める人に向いている職業です。

ファッションや婚礼衣装に興味がある人ということも重要な要素です。

また、先述のとおり、多くの知識やスキルを求められるのがコスチュームコーディネーターの仕事です。やりがいや喜びも大きい仕事ですが、反面、新しい知識やスキルを身につけるためや、これまでの知識を更新するための勉強や努力が欠かせない仕事であるともいえます。そうした勉強や努力を続けられる人、苦にならない人であれば、コスチュームコーディネーターとして成功できるのではないでしょうか。

コスチュームコーディネーターの魅力、やりがいとは

「感動」と「ありがとう」にあふれた仕事

長い人生の中で、婚礼のセレモニーやパーティーに関わる思い出は、新郎新婦にとってかけがえのないものになります。たくさんの大切な思い出の中でも、きっと特に輝かしい記憶となります。たった数時間のことを、何か月も前から考え続けて、理想や夢だったことを現実のものにしていきます。そこにはお二人の強い思いが込められていて、そうした気持ちに寄り添い、アドバイスし、提案し支えていく重要な役割を持っているのが、コスチュームコーディネーターです。

特に新婦は衣装に対する思い入れが強いことが多いものですし、たくさんの衣装の中から「これぞ」という一着を見出し、提案することができれば、大きな感動を引き出すことができるでしょう。新婦の感動は新郎へ、ご親族の方々、招待客の方々の「良いお式だった」「素敵な会だった」「ありがとう」との感動へと広がっていきます。

感動や感謝の気持ちにあふれた時間を創り出すお手伝いができる、これがコスチュームコーディネーターという仕事の魅力・やりがいではないでしょうか。

一生続けられる仕事

コスチュームコーディネーターにはもうひとつ魅力があります。

それは、優秀な人材であれば働く場所や働き方を選ばず、ライフステージの変化の影響を受けにくいということです。

つまり、ホテル、専門式場など婚礼セレモニーが行われている場所であれば、仕事はあるということです。もちろん最初は、会社や式場やホテルに就職する形で仕事を始めることになります。就職後、しっかり経験を積み実績を上げていけば、そうした会社組織に属す形でなく、フリーのコスチュームコーディネーターとして独立し活躍することもできるのです。「コスチュームコーディネーターは○○さんにお願いしたい」との指名を受けて、仕事をすることも夢ではありません。

また、コスチュームコーディネーターは経験・実績がものをいう仕事です。自身の結婚や育児などでブランクができたとしても、休業期間を経て再び現場に復帰することも十分可能です。「一生の仕事」として続けていくことができるということは、仕事をしていく上でとても魅力的なことではないでしょうか。

 

いかがでしたか。

華やかで喜びあふれる時間を支える大きな柱、コスチュームコーディネーター。

多くの知識やスキルを必要とされる仕事です。しかし、たくさんの分野にまたがった知識を独学で身につけるのはなかなか難しいものです。

京都ホテル観光ブライダル専門学校では、コスチュームコーディネーターになるために必要なことを、分野ごとにしっかり学習し、身につけていくことができます。厳しいけれどやりがいと魅力いっぱいの仕事、コスチュームコーディネーターを目指してみませんか。

 

 

参考

京都ホテル観光ブライダル専門学校

コスチュームコーディネーター

https://www.kyoto-carriere.ac.jp/dpt_bridal/job/costume.php

 

ホテリエガイド

コスチュームコーディネーター

https://www.jhs.ac.jp/guide/job/bridal/post-30.php?viewmode=pc

 

ホテルのお仕事

コスチュームコーディネーター

https://shigoto-hotel.com/bridal/costume-coordinator/

 

リクナビ

株式会社アターブル松屋

https://job.rikunabi.com/2019/company/r645630029/senior/K104/

 

ナリカタ

ウエディングドレスコーディネーター

http://www.narikata.com/bridal/wdc/howto/quality/

 

ジョブ―ル

ドレスコーディネーターで仕事の内容5個の実務。ブライダル会社で働いていた私たちが教えます!

https://joboole.jp/articles/605869

 

ウエディングプランナーガイド

ドレスコーディネーターってどんな仕事?

https://www.jhs.ac.jp/weddingplanner/works/dresscoordinator.php

 

みんなのウエディング

結婚式(挙式)を和装であげたい花嫁のための基礎知識

https://www.mwed.jp/manuals/819/

 

THE KIMONO SHOP

花嫁着物のバリエーション

https://www.the-kimonoshop.jp/trivia/trivia05.html

 

Foresight

カラーコーディネーターとは

https://www.foresight.jp/color/about/

一般社団法人 日本ジュエリー協会

資格基準

http://www.jja.ne.jp/coordinator/aboutjc.html

 


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