世の中には、旅行に関わるたくさんの仕事があります。その中でも、直接お客さまと関わる仕事である、旅行カウンタースタッフと呼ばれる職業をご存知でしょうか。
お客さまの楽しい旅行をサポートするためには、欠かせない大切な仕事で、そのためにやりがいも感じられる職種だといえるでしょう。あなたが旅行好きな人なら、自分自身も楽しめる仕事でもあります。
この記事では、そんな旅行カウンタースタッフの仕事や、働くために必要な技術などをわかりやすく解説しました。
旅行カウンタースタッフとは、旅行会社の窓口業務のお仕事です。窓口へいらっしゃるお客さまのご要望を聞き、パッケージツアーの販売や旅行の相談に応じるなど、とても大切な業務。
旅行先は無限にありますし、お客さまが求めている旅行の内容やテーマも、人それぞれまったく異なります。そのためお客さまが求めていることを、会話から瞬時に見抜き、適切なアドバイスや提案できる力が求められる職業といえるでしょう。
自分自身が旅行好きなら、お客さまと旅行の話をしているだけでも、きっと楽しめるのではないでしょうか。もちろん楽しいだけではなく、お客さまと直接関わるからこそ感じる、大変なこともたくさんあります。ですが楽しいことから大変なことまで、すべてを含めてやりがいがある、そんなお仕事です。
旅行カウンタースタッフの業務は、つぎのような仕事内容です。
過去には、画一的な旅行プランがメインであった時期もあり、そこまで専門的な知識が求められないこともありました。
ですが近年では、お客さまが自分に合わせた旅行プランを、目的やテーマに合わせて細かく設定する、というスタイルが増えています。そのため旅行カウンタースタッフにも、多様化するニーズに合わせて、旅行に関する幅位広い知識や新鮮な情報提供が求められているのです。
旅行好きな人なら、たくさんの土地の知識や新しい情報を調べることは苦にならず、むしろかえって楽しいことのはず。また実際に旅行を体験し続けなければ、お客さまに適切なアドバイスや提案はできませんよね。
そのため会社によっては、研修旅行を取り入れていることも少なくありません。
もちろんただの旅行ではありませんから、帰社後はレポートの提出や情報共有、ディスカッションなどを実施します。研修旅行であっても、実際に体験できるなんて、それはそれで旅行好きにとっては、ちょっと得した気分になれちゃいますよね。このように、まさに旅行が好きな人のための仕事、といえるのではないでしょうか。
旅行カウンタースタッフになるためには、専門学校や大学を卒業後に、そのまま就職するのが一般的です。もちろん中途採用もつねに募集はされていますが、大手の旅行会社の場合は、どちらかというと新卒採用の方が多いのではないでしょうか。
そのため、常に人気の職種の上位に入る旅行カウンタースタッフは、人気の会社ほど狭き門となっているのが現実です。できるだけよい条件の会社への入社を希望するなら、新卒採用を狙うことがおすすめだといえるでしょう。
もちろん最大手のような会社を志望しなければ、中途採用のチャンスもじゅうぶんにあります。また従事するために、特段必要な資格等はありませんが、接客スキルやマイクロソフト・オフィスのスキルなどは欠かせません。
旅行カウンタースタッフになるために、特別な資格などは必要ありません。ですがどんな職種でもそうであるように、求められるスキル、伸ばしていかなければならないスキルがあります。
旅行カウンタースタッフであれば、この4つのスキルは欠かせません。もちろん最初から身についている人は、ほとんどいないはずですから、働きながら身につけていく必要があるでしょう。もし最初から、この中のいずれかのスキルを持っているだけでも就職活動では有利になり、そして働きはじめてからもかならず役に立つはずです。
お客さまの旅行に関するアドバイスや、企画の提案などをする業務があるため、幅広くたくさんの知識が必要とされます。
旅行先の観光名所や名物だけではなく、少しマニアックなローカル情報まで、一般の人以上の情報をつねに収集しておく必要があるでしょう。移り変わりの少ない定番の情報なら、つねにストックしておくだけでも資産になります。
ですが、移り変わりのある、旬な情報こそお客さまが求めているものですから、このような知識は働いている限り、更新し続ける必要があるのです。インターネットだけでは収集できない、貴重な情報まで提供できれば、旅行カウンタースタッフには仕事冥利ですよね。
海外旅行の販売などをサービスとして提供する場合は、海外情勢などについてもくわしくなる必要があるでしょう。国内の旅行と同様に、一般的な情報だけに限らず、なかなか収集できないローカルな情報をつねに勉強します。
しかし、楽しくて便利な情報だけではなく、危険に関する情報にも敏感にならなければいけません。治安がよいとされている国であっても、場所によっては日本国内では考えられないくらい危ない場所もあります。お客さまへ安全で楽しい旅行を提供するためにも、海外情勢に関しては、とくに正確な情報を集めておきたいですよね。
お客さまと対面で接するお仕事ですから、高い接客スキルが求められます。一人ひとりと接する時間も比較的長いため、たくさんのことに気を配る必要あるでしょう。
接客への適性は、もともとの気質にも関わることではありますが、ほとんどの場合、じゅうぶんに学習・訓練・実務を繰返していけばだれでも身に付けられます。学生から就職する方の中で「接客が好き」と、はじめから感じている人はほとんどいないはず。
経験のないことですから、接客は慣れるまでは、だれでも不安で嫌なことなのです。
旅行業はいろいろな理由により、想定外のことが多発する仕事です。
このように、少し挙げるだけでも多くのイレギュラーの発生が想定されます。そうなると一斉にキャンセルの手続きが必要になり、短時間でミスのない手配が求められるでしょう。
各会社には、イレギュラーが発生した場合のマニュアルがかならずあります。ですが実際に発生すると、マニュアルどおりにはいかないことがほとんど。どれだけ理不尽に感じても、それが仕事であり接客業にはつきもの。
つまりどのような想定外のことが発生しても、冷静にすばやく臨機応変に対応できるスキルが必要なのです。
旅行カウンタースタッフには、特別な資格は必要ありません。ですが持っていれば有利、または役に立つ資格があります。
どれも旅行カウンタースタッフの業務に関わる資格ですから、就職前・就職後にかかわらず、取得にチャレンジしてみるのもよさそうです。
旅行カウンタースタッフの業務では、オフィス関連のソフトが多用されます。一般的には、エクセル・ワードが使いこなせる程度でも、じゅうぶんに仕事はできるでしょう。
ですがより高度な数式やマクロなど、業務の効率化などを提案できるスキルがあれば、かならず役立つはず。そしてそのスキルを証明するための資格が、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)の資格というわけです。
マイクロソフト・オフィスは、比較的使いこなすことがかんたんなソフトではありますが、フルに機能を活用できればさらに便利なことは、あまり知られていません。学習する時間があれば、取得してみるとよさそうですね。
旅行業に携わっていれば、どこかで英語が必要になる機会があるでしょう。外国人や日本に住んで間もない方の対応では、確実に英語が求められます。
そんな時に英検の資格があれば、ある程度のコミュニケーションが取れるはず。今後はインバウンドの外国人観光客も増えてくる中で、英語が大切な能力になることが容易に想像できます。
そして英語の能力を証明する、シンプルな方法が英検というわけですね。もちろんTOEICなども同様です。
規模にもよりますが、旅行業務取扱管者は、事業所にかならず1人以上いなければなりません。これは、取引条件・金額の明示から、契約書類の保管まで、旅行業に関わる業務を監督するための責任者の国家資格。
旅行カウンタースタッフに、かならず求められる資格ではないものの、持っていれば仕事で有利ですし、役に立つ資格であることに違いはありません。やや取得がむずかしい資格ですが、旅行業で働くためにも、取得しておいて損はないでしょう。
ぜひキャリアアップのためにも、取得を目指してみてはいかがでしょうか。
旅行カウンタースタッフの仕事には、たくさんの楽しいと感じられる瞬間があるでしょう。
楽しいと感じる瞬間は、人によっても異なりますが、多くの人が感じるのはこんなケースです。
どちらも長く仕事を続けていくうえで、とても大切なことですよね。こんな2つのことから喜びを感じられるのなら、きっと旅行カウンタースタッフの仕事に向いているのではないでしょうか。
心から旅行が好きな人にとって、旅行の仕事に関われること自体に、喜びを感じるのではないでしょうか。
自分が旅行に出かけることはもちろん、お客さまと大好きな旅行について話したりアドバイスをしたり、そして買ってもらう。まだ行ったことのない、いろいろな旅行先について調べることも、きっと楽しいと感じるはずです。
もし旅行に興味がない人なら、お客さまと話すことも、旅行先について調べることも、きっと苦痛なのではないでしょうか。つまり旅行が大好きなあなたにとって、旅行カウンタースタッフは最適な仕事なのです。
ツアーを買ってもらうと、それきりになるお客さまがほとんどでしょう。ですがそんな中でも、何度もリピートしてくれるお客さまもかならずいます。
そんなお客さまから「前回の旅行は素晴らしかった。ありがとう。またあなたにお願いしたい。」と、感謝の言葉をいただいた時ほどうれしく、そしてやりがいを感じることはないでしょう。
毎回を誠心誠意に対応し、感謝される数を増やしていけば、きっと楽しく仕事を続けていくことができるはずです。
旅行カウンタースタッフの仕事は、楽しいことがとても多い仕事ですが、それと同じくらい大変なところもあります。旅行カウンタースタッフが、どれだけ華やかで人気のある仕事であっても、大変なものは大変!
こんな事態が発生すると、時間も心も削られてしまいます。
ですがこれらのトラブルは、旅行カウンタースタッフだけではなく、接客業では避けて通ることのできないことなのです。
旅行の予約がキャンセルされてしまうことは日常茶飯事ですが、天候・災害・事件など、いくつかの条件が重なり、一気に予約のキャンセルが重なってしまうと、とても大変な思いをすることになります。
飛行機・電車・バス・ホテルなどのキャンセルなど、正確にすばやく、そしてなによりもミスがないように手続きしなければなりません。
避けられないこととはいえ、トラブルはなぜか重なるもの。このようなトラブルが重なると、だれでも「大変だな…」と感じることでしょう。
どれだけていねいな接客を心がけていたとはいえ、クレームはかならず発生します。そしてクレーム対応をすることも、窓口業務の大切な役割。
あなたの接客に問題があったのかもしれません。ですが現実には、旅行中のあなたに直接関係のないトラブルについても、クレームを言われるものなのです。
「なんで私が怒られなきゃいけないの…。」
そう感じ、理不尽さに心が折れそうなことがきっとあるはずですが、クレーム対応はなくなることがありません。連続で発生した場合には、なおさらストレスを感じてしまうことでしょう。
旅行カウンタースタッフのお仕事は、毎年人気の職種に入る華やかな仕事です。旅行好きにとっては、これ以上ないほど適正のある仕事で、楽しいと感じることはきっと多いでしょう。
特別な資格は必要なくても、求められるスキルはたくさんあります。これから旅行カウンタースタッフを目指すのなら、できるだけ多くのスキルを身につけたり、資格の取得を目指すのがオススメです。
大変な仕事ではありますが、それ以上にやりがいを感じられる仕事ですよ。
この記事を監修したのは
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京都ホテル観光ブライダル専門学校 旅行学科 学科長
経歴:東急観光(現東武トップツアーズ)で7年、日本旅行で5年、アウトセールス・添乗員として勤務。
資格:総合旅行業務取扱管理者、行政書士、JHMA認定ホスピタリティ・コーディネータ
担当授業:カウンターセールス実務、アウトセールス実務、国内ツアープランニング など