高校卒業後の進路を選ぶ時に、「大学を選べばいいのか」「専門学校を選べばいいのか」で迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。どちらにもメリットがあるため、なかなか決められない人もいると思います。今回は、そんな大学と専門学校の違いについて考えていきたいと思います。
大学と専門学校の違いを考えるうえで、まずは何よりもそれぞれの定義を知らなければなりません。
まずは大学は、高等学校(高校)などを卒業した人や12年の特別教育を修了した人、またはそれらと同等以上の学力を持つ人に、さらに専門的な高等教育を行う教育機関です。学んだ教育課程やそのレベルに応じて「短期大学士・学士・修士・専門職学位・博士」などの学位が与えられます。これらの学位を授与された人は、その分野の専門的知識を持っていると公的に認定されたことになります。そのため卒業後は、それぞれの専門分野を活かした職業に就きやすくなります。
もちろん学んだ分野と関係のない進路を選ぶ人や、さらにその分野で知識を深めるためや文化の発展に寄与するために、大学院へと進む人もいます。高等教育という考え方に絞ると諸説ありますが、大学の起源はイタリアのボローニャ大学なのだそうですよ。
大学へ通うメリットは、人によっても違いますが、次のように感じている人は多いでしょう。
大学では専門的な知識はもちろんのこと、選択できる科目が非常に多く、一般科目などさまざまな授業を受けられます。もちろん自分の専攻した分野以外の科目も選択できるため、勉強において非常に自由度が高い点が特徴です。そのためたくさんの幅広い学問を学ぶ場合に向いていると言えるでしょう。
また学ぶための設備がとても充実しているのが大学の特徴でもあります。大学にもよりますが、図書館やインターネット設備、学校が保有している知的資産など、あらゆる設備の恩恵が受けられるため、学生にはとてもありがたい環境です。そして大学には、それぞれの学校で独自の文化を持っていたり、大学ならではの自由な雰囲気がある点も魅力的です。
さらには大学では、自由な風土を大切にしていることが多く、多種多様な取組や活動が認められる自由があります。アルバイトやサークル活動、プライベートな時間も比較的取りやすいと言えるでしょう。
大学へ通うことには、デメリットもあります。
後述しますが、何よりも非常に高い学費がかかることが最大のデメリットだと言えるでしょう。もちろん奨学金を利用するなどはできますが、それでも後々返済しなければならないことから、大学生活を無駄にしてはもったいないです。
また大学は自由度が高いというメリットがある反面、すべては自己責任でもあるということあります。講義に出ずに勉強をサボり始めると、単位を取るのが大変であったり、留年してしまうケースも珍しくありません。勉強をしなくても、大学では誰からも叱られませんし、誰も叱ってはくれないものです。そのため大学へ進学した結果、遊んで4年間が終わってしまったという方も少なくありません。万が一留年までしてしまえば、その分だけ時間をムダにしてしまうだけではなく、お金も余計にかかってしまいます。
大学生活にかかる学費は、高校などとくらべるとかなり高くなります。文部科学省の発表した令和元年度の初年度における、大学への納付金の金額は以下の通り。
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | 合計 | |
私立大学 | 911,716円 | 248,813円 | 180,914円 | 1,340,723円 |
公立大学 | 538,734円 | 392,391円 | ー | 931,125円 |
これはあくまで初年度のみですから、入学料を除く金額が毎年かかる計算です。
私立大学なら4年間で相当な金額が必要となり、公立大学でもそれなりの金額が必要です。もちろんこれは純粋な学費ですから、大学生活でかかるそのほかのお金はさらに高くなるでしょう。生活費や活動費、電車の定期代など、総合的に考えると、この金額よりもかなり高くなることは間違いありません。大学へ進学するのなら、大学生活にかかる学費・費用を把握しておきたいものです。
専門学校は専修学校の中でも「専門課程」を設置している学校のことです。
より詳細に説明すると、職業や実際生活に求められる必要な能力と教養の育成、向上を目的とした教育を行う教育施設です。さらに、1年以上の修業期間かつ、文部科学大臣が定める800時間以上の授業で、生徒が常に40人以上である学校が該当します。大学とは違って、特定の職業に就くために必要な、専門的な知識・技術を学ぶための学校が専門学校です。1年以上の修業期間とはありますが、2年間のカリキュラムであるケースが多く、短い期間で集中して専門的な知識と技術を習得することができます。
目指したい職業がはっきりと決まっている場合には、専門的な知識を集中的に学べる専門学校へ通うのが一般的ですね。
専門学校へ通うメリットは多くあります。
そもそも専門学校は、職業に関わる専門的な教育を受けられる学校です。そのため授業は仕事に関わる授業が中心のため、資格の取得などで非常に有利です。また、専門学校では学部によって卒業時に資格が授与される場合もあり、ほかにも自主的に同じ分野の資格取得にも挑戦できます。さらに、多くの卒業生を輩出していることからも、業界との繫がりが強い専門学校は多く、就職にも非常に有利な点も見逃せないメリットです。
およそ2年という短期間で、専門知識と技術がしっかりと身につくのは、専門学校ならではの強みだと言えるのではないでしょうか。
専門学校に通う場合のデメリットについては、以下の通りです。
あまりデメリットは多くはありませんが、メリットである「短期間で学べる」という点が「集中して学ぶ必要がある」とも言い換えられます。つまり2年という短い期間で、数多くの専門知識を身に付け、資格試験に合格するために、濃密な時間を過ごさなければなりません。そのため自由度や時間の余裕といった点においては、やや少なめとはなってしまいます。しかしながらこの点は、短い間に凝縮して学べるというメリットでもあることを忘れてはなりません。
なお当然ではありますが、大学卒の求人に対しては、応募できない点もデメリットだといえます。こちらも同様に、専門学校の場合は、就職率が非常に高いために大きな問題にはならないでしょう。
専門学校でかかる学費は、初年度の納付で124万円程度とされています。卒業までにかかる平均値としては、200万〜250万円程度であり、大学へ進学する場合と比べるとある程度は抑えられる場合が多いです。決して安いとはいえない学費ですが、専門知識や資格の取得などから考えると、将来的には十分投資に対するメリットがあります。
なお、京都ホテル観光ブライダル専門学校では独自の助成金制度などがあるため、このような制度を利用することで学費を大幅に抑えられる可能性もあります。学費のことが心配でも、専門学校の場合は、このような助成金制度や奨学金を活かせば、必ず学びたいことを学べます。
大学と専門学校の大きな違いは、学ぶ幅です。大学の観光に関する学部の場合は、観光についてと一般教養について学ぶことができます。観光に関する基礎知識を学ぶことはできますが、大学では実習よりも知識を増やし深めるための授業が多いです。そのため就職してすぐの頃は、研修などを受けながら少しずつ技術を身につけていくことになります。一方の専門学校では、就職後すぐに仕事で必要となる知識を授業で学ぶことができ、技術面も実習を通して身につけることができます。一般的には、専門学校を卒業すると多くの人が、すぐに即戦力として活躍できます。
例えばツアープランナーを目指して専門学校に入った場合、ツアープランナーにとって必要な知識を中心に深く学ぶことができます。そして知識を学んだうえで、授業の中で実際の業務に近い内容として、例えば「ツアーを作る」という実習を行います。インターンシップで仕事を体験することもできます。学生の時に実務に近いことを経験しているので、就職してから比較的早い時期にツアープランナーとしての仕事を任されることもあるのだそうです。
また専門学校、特に京都ホテル観光ブライダル専門学校では、仕事に役立つ資格をたくさん取ることができます。資格を取得するための対策授業や特別講座がたくさんあるからです。大学は、自分にとって気になることを「研究」という形で極めることができますが、「実習が少ない」というのが専門学校との大きな違いではないでしょうか。
資格を取る方法には、いくつもの手段があります。それに資格と言っても、あまりにもたくさんの種類があるため、一律には決めつけることはできません。
そこで専門分野に絞った場合に、資格を取得するならどちらの方が有利なのかを考えてみましょう。
大学で資格を取る場合、基本的に専攻した学部に関わる資格を取得するのが基本です。たとえば法学部なら司法試験を受験し、合格して弁護士などの職業に就くといったケースです。また専攻する大学や学部によっては比較的時間に余裕がある場合、学部とはまったく関係のない資格を勉強して取得もできます。自分が興味があることについて、自分で学んで資格を取得できるということです。これは大学ならではの自由な環境と、時間に余裕があるからこそできる資格の取得方法でしょう。
専門学校で資格を取得する場合、学んでいる分野に関わる資格だけを狙って取得します。たとえばウエディングについて学ぶのであれば、ブライダルコーディネート技能検定やジュエリーコーディネーター検定、サービス接遇検定など、関連する資格を取得していくイメージです。専門学校を卒業するまでに取得を目標にしている資格に加えて、自分がほしいと思った関連する資格を、学校の援助を受けながら自主的取得します。資格の有無は就職活動へダイレクトに関わるので、とても重要です。将来的になりたい職業が決まっており、専門学校を経由する方が早いのであれば、こちらで資格を取得するのがおすすめです。
大学と専門学校のどちらが就職に有利なのか、という疑問については「目指す職業による」とお答えします。
なぜなら「医師になりたい」のであれば、医科大学へ進むしか道はありません。また「旅行業に就きたい」のであれば、京都ホテル観光ブライダル専門学校のような旅行業に関わる専門学校へ進むのが最短です。そのため一概にどちらが就職に有利なのかは、断言はできません。
それよりもまずは「自分がどんな職業を目指したいのか」をハッキリさせることです。目指す職業や仕事が決まれば、自然に進路は決まるでしょう。
大学と専門学校のどちらが楽しいのか、という疑問ですが「どちらも間違いなく楽しい」とお答えします。
どちらの進路へ進んだとしても、自分が学びたいことを学べるのは、この上ない幸せを感じられますし、なによりも楽しいはずです。それに友人との関係なのであれば、どちらでもたくさんの友だちを作れます。大学であれば自由な雰囲気から、より多くの友だちを作れそうですが、専門学校でも多くの友人ができるでしょう。何よりも専門学校では、同じ道を目指すたくさんの仲間となるので、一生の付き合いとなる友だちもきっとできるはずです。
こうした理由から、どちらの方が楽しいと決めつけることはできません。楽しく過ごせるかどうかは、大学と専門学校のどちら選んだとしても「自分次第」なのではないでしょうか。
大学への進学ができるのにも関わらず、専門学校へ進学する学生はかなり多いです。人によって専門学校を選ぶ理由は違うものの「目標にしている仕事が決まっていて、実現するためには専門学校が最短」と考えている人は多いといえます。ブライダル関連の企業に就職したいのであれば、ブライダルに関係する専門学校、旅行・観光に関連する企業へ就職したいのであれば、旅行・観光に関係する専門学校へ進むのが最短なのです。
もちろん大学を経由して、ブライダル業界や旅行・観光業界を目指すこともできます。しかしながら同じ職業を目指すのであれば、専門分野を集中して学べる専門学校がやはり有利になります。働き始めてからも、専門知識を学んでいるかいないかでは、スタートの時点で有利なのは歴然です。
大学と専門学校のどちらへ進学するかを迷う人は多いと思います。多くの先輩達も同じように、進路に迷わなかった人は少ないはずです。そして専門学校へ進学した大半の人たちが「専門学校へ進んでよかった」と感じているものです。その理由は、ここまで説明してきた理由とまったく同じです。自分が目指したい仕事や業界で、早く活躍できることに非常に大きなメリットがあるからです。もちろん同じ道を目指す、たくさんの友人ができたことも理由にあるでしょう。
大学と迷っている場合は、大学編入という選択肢もあります。これは、専門学校で学んだあとに、2年次もしくは3年次から大学へ編入することです。そのため専門学校へ進学して専門的な知識・技術を身につけたあとに、より高度な分野について学ぶために大学へ編入する道もあるということです。
例えば、京都ホテル観光ブライダル専門学校には、大学編入を希望する方をサポートする「大学編入プログラム」があり、毎年編入の実績があります。もしどちらへ進学するか迷っている人でも、一度専門学校へ進学し、あとで大学へ編入するという手段もあるのでぜひ覚えておきましょう。
上記であげた内容では専門学校の方がメリット豊富に感じられますね。
しかしこれは、時と場合によります。例えば観光の業界に興味がある、だけど他にも気になる業界がある、まだ何の仕事をしたいかわからない、というような場合は、大学を選択してもいいかもしれません。大学でさまざまなことを広く勉強し、その中で「自分が本当にやりたい事」を見つけるというのも一つの方法です。
大学生のなかには、大学で学んだ内容と全く違う分野での仕事に就いている人もいます。法学部を卒業した人が必ずしも検事や弁護士になるわけではありませんし、福祉系の大学を卒業した人がまったく違う業界の会社員になるのと同じです。まだ自分のやりたいことが定まっていない人は大学に行くのもよいでしょう。
大学では専門分野がありながらも、幅広くさまざまな事を学ぶことができます。一緒に学ぶ同級生も、色々なことをしたいと思いながら、悩んでいる人がたくさんいます。そのため、大学では本当にそれをやりたいのか、それとも他のやりたいことを見つけていくのか、自分の方向性を模索しながら進むこともあります。
一方、「自分の中で明確にやりたいことが決まっている」「この仕事に就きたい!」という思いがあるのであれば、専門学校に通うことをおすすめします。
進路に悩んでいる時に、学校に行かずにそのまま就職をして経験を積むのか、それとも進学するかを迷うのであれば、専門学校を選択するのはいかがでしょうか。もちろん、まずは就職してみて、実際に働きながら経験を積むのもいいです。しかし、専門的なことを学ぶ前に就職するならば、「経験=自分の学び」となります。
本来自分が思い描いている仕事にたどり着くまでに時間がかかりますし、昇進することが難しくなる場合もあるでしょう。場合によっては自分のやりたい仕事に就けないまま、全く違う業務をやり続けることにもなりかねません。
その点、専門学校を卒業していれば、企業側に実力を認めてもらえるチャンスがあります。実際、仕事に役立つスキルが身につけられ、資格で自分のスキルを証明をすることができます。京都ホテル観光ブライダル専門学校は、旅行・観光、ブライダル、ホテル業界の職種を目指す専門学校ですが、卒業までに最大15個(2022年度実績)の資格を取得することができます。学校への求人数も多く、自分の働きたい仕事に就くチャンスが大きいです。
高校を卒業して就職するべきか、進学するべきかで迷うのであれば、専門学校へ進んで実力をつけてから、自分のやりたい仕事を目指しませんか?
この記事を監修したのは
↓↓↓
京都ホテル観光ブライダル専門学校 教務部
経歴:2008年に学校法人大和学園 京都調理師専門学校 入職。進学アドバイザーとして高校生を中心に進路指導の相談に応じる。
その後、法人事務局 総務・経営情報グループ、グループ校の京都調理師専門学校・京都製菓技術専門学校(現:京都製菓製パン技術専門学校) 広報渉外部、キャリエールホテル旅行専門学校(現:京都ホテル観光ブライダル専門学校)管理部に異動。
2019年に法人事務局 財務会計グループに異動し、現在は大和学園生涯学習事業部・京都ホテル観光ブライダル専門学校 教務部を兼務。教務部で学校事務業務を担当している。
資格:情報処理技術者(ITパスポート)、日商簿記検定3級、第二種衛生管理者、防火・防災管理者、ホスピタリティ・コーディネータ、MOSエキスパート(Word、Excel)